○稲敷市宅地開発指導要綱

平成17年3月22日

告示第59号

(目的)

第1条 この告示は、稲敷市における宅地開発事業の施行に関し必要な基準等を定めてその適正な施行を確保することにより、開発区域及びその周辺の地域における災害を防止するとともに、良好な居住環境の保全及び均衡ある市土地利用の合理化を図りもって市民の福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この告示において「宅地開発事業」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)の建築の用に供する目的で行う一団の土地の区画形質の変更に関する事業をいう。

2 この告示において「開発区域」とは、宅地開発事業を行う土地の区域をいう。

3 この告示において「事業主」とは、宅地開発事業に係る工事(以下「工事」という。)の請負契約の発注者又は請負契約によらないで自ら工事を施行する者をいう。

4 この告示において「工事施行者」とは、宅地開発事業の請負人又は請負契約によらないで自ら工事を施行する者をいう。

(適用事業)

第3条 この告示は、次の各号のいずれかに該当する宅地開発事業を除き、0.1ヘクタール以上の一団の土地に係る宅地開発事業について適用する。

(1) 国及び地方公共団体その他別に定める公共的団体が事業主となって行う事業

(2) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条に規定する開発行為に係る事業

(3) 砂利採取法(昭和43年法律第74号)第2条に規定する砂利採取に係る事業

(4) 茨城県土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例(平成15年茨城県条例第67号)の適用を受ける埋立て、盛土及びたい積に係る事業

(5) 茨城県土地開発事業の適正化に関する指導要綱(昭和48年4月2日公告)の適用を受ける事業

(6) 稲敷市土採取事業規制条例(平成17年稲敷市条例第121号)の適用を受ける土採取に係る事業

(7) 稲敷市土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例(平成17年稲敷市条例第106号)の適用を受ける土地の埋立て、盛土及びたい積に係る事業

(8) 農業、林業又は漁業の用に供する事業で別に定めるもの

(9) 非常災害のための必要な応急措置として行う事業

(10) 市内に住所を有し自己の居住の用に供する目的で行う事業

(11) その他の公益の用に供する事業

(責務)

第4条 宅地開発事業を行おうとする者は、宅地開発事業の計画を策定しようとするときは、当該計画が稲敷市の定める土地利用に関する計画その他の施策と調和するよう努めなければならない。

2 独立住宅の開発に当たっては、一宅地の面積を原則として200平方メートル以上確保すること。ただし、やむを得ない場合においては、一宅地の面積が165平方メートル以上で平均200平方メートル以上とすることができる。

3 事業主は、宅地開発事業の計画においてその実施期間を原則として2年以内とし、その期間内に買収・造成等一連の開発事業を終了させること。ただし、その期間内に事業が終了しない場合は、稲敷市長に申し出て協議しなければならない。

4 住宅用地造成をする事業主は、住宅用地面積の30パーセント以上に対して建売住宅を建築すること。

5 宅地開発事業を申請しようとする者は、あらかじめ、当該事業に関係がある公共施設の管理者及び新たに設置される公共施設を管理することとなる者と協議すること。

(事前協議)

第5条 開発をする事業主は、宅地開発事業の計画についてあらかじめ市長と協議し、その同意を得なければならない。

2 前項の規定による協議をしようとする者は、事前協議申出書に別に定める図書を添えて市長に提出しなければならない。

(市長の同意)

第6条 市長は、前条第1項の規定による同意については、次に掲げる事項を勘案してするものとする。

(1) 集団的優良農地・埋蔵文化財・天然記念物等の保全が図られること。

(2) 災害の防止が図られること。

(3) 道路等の交通施設の整備が図られること。

(4) 用排水施設の整備が図られること。

(5) 公共施設の整備が図られること。

2 市長は、前条第1項の規定による同意については、稲敷市開発調整会議の意見を聴かなければならない。

3 市長は、前条第1項の規定による同意をするときはその旨を、同意しないときはその理由を明らかにしてその旨を事前協議申出書を提出した者に通知しなければならない。

(設計の基準)

第7条 事業主は、工事の設計(以下「設計」という。)を定めるに当たっては、別表に定める設計の基準(以下「基準」という。)に適合するようにしなければならない。

(設計の確認)

第8条 事業主(国・地方公共団体その他別に定める公共的団体を除く。以下同じ。)は、工事を施行しようとするときは当該工事に着手する前に、その設計が基準に適合するものであることについて、市長の確認を受けなければならない。

2 前項の規定による確認を受けようとする事業主は、次に掲げる事項を記載した確認申請書に別に定める図書を添えて市長に提出しなければならない。

(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称・代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

(2) 開発区域(開発区域を工区に分けたときは、開発区域及び工区)の位置・区域及び面積

(3) 工事の着手及び完了の時期

(4) 開発区域の敷地(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第1条第1号に規定する敷地をいう。)の区画数及び予定建築物の用途

(5) 請負契約によって工事を施行しようとする場合は、当該工事の請負人の氏名及び住所(法人にあっては名称・代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

3 市長は、前項の規定による確認申請書を受付した場合は、設計が基準に適合することを確認したときはその旨を、適合しないと認めたときはその理由を明らかにしてその旨を、当該確認申請書を提出した者に通知しなければならない。

(設計の変更)

第9条 事業主は、前条第1項の規定による確認を受けた設計を変更しようとするときは、当該変更に係る部分の工事に着手する前に、当該変更に係る部分の設計が基準に適合するものであることについて、市長の確認を受けなければならない。ただし、別に定める軽微な変更をしようとする場合は、この限りでない。

2 前条第2項及び第3項の規定は、前項の確認について準用する。

(協定の締結)

第10条 事業主は、宅地開発事業の施行について市長と協定を締結しなければならない。

(順守義務)

第11条 事業主又は工事施行者(請負工事の下請人を含む。以下次条第17条及び第19条において同じ。)は、第8条第1項の規定により確認を受けた設計(第9条第1項の規定による変更の確認を受けたときは、その変更後のもの)に適合するよう工事を施行しなければならない。

(防災等の措置)

第12条 事業主又は工事施行者は、工事の施行に当たっては当該工事に係る開発区域及びその周辺の地域において次に掲げる事態を生じさせないよう適切な措置を講じなければならない。

(1) 土砂くずれ・出水等による災害が生ずること。

(2) 河川及び水路の利水又は排水に支障を及ぼすこと。

(3) 排水路その他の排水施設の使用に支障を及ぼすこと。

(4) 交通に支障を及ぼすこと。

2 事業主又は工事施行者は、工事を廃止し又は中止しようとするときは、当該工事に係る開発区域及びその周辺の地域において、前項各号に掲げる事態を防止するため必要な措置を講じなければならない。

(変更等の届出)

第13条 事業主は、次に掲げる場合においては、遅滞なく別に定めるところによりその旨を市長に届け出なければならない。

(1) 第9条第1項ただし書の規定による軽微な設計の変更をしたとき。

(2) 工事施行者を変更したとき。

(3) 工事の着手又は完了の時期を変更しようとするとき。

(4) 工事を2箇月以上中止し、又はその工事を再開しようとするとき。

(5) 工事を廃止しようとするとき。

(設計確認の掲示)

第14条 第8条第3項の規定による確認の通知を受けた事業主は、工事の着手の日から次条第2項に規定する検査済証の交付の日まで、当該確認に係る開発区域内の見やすい場所に別に定める様式によって、当該事業主及び工事施行者の氏名又は名称並びに当該設計が基準に適合することの確認があった旨を掲示しなければならない。

(工事の完了検査)

第15条 事業主は、開発区域(開発区域を工区に分けたときは、その工区)の全部について工事が完了したときは、遅滞なく別に定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の届出があったときは、速やかに当該届出に係る工事が第8条第1項の規定により確認を受けた設計(第9条第1項の規定による変更の確認を受けたときは、その変更後のもの)に適合しているか否かについて検査し、当該工事が当該確認を受けた設計に適合していると認めたときは、検査済証を事業主に交付しなければならない。

(建築制限)

第16条 第8条第1項の規定による確認を受けた開発区域内の土地においては、前条第2項の検査済証の交付があるまでの間は、建築物を建築してはならない。ただし、当該宅地開発事業に関する工事用の仮設建築物を建築するとき、その他市長が支障ないと認めたときは、この限りでない。

(監督処分)

第17条 市長は、当該宅地開発事業の事業主又は工事施行者及び工事管理者に対して災害を防止するため、当該工事の停止を命じ、又は必要な措置をとることを命じることができる。

(立入検査)

第18条 市長は、適切な工事の施行を確保するため、その職員をして開発区域内の土地に立ち入らせ、工事の状況を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査するときは、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(報告の徴収等)

第19条 市長は、この告示の施行において、事業主又は工事施行者に対し、工事に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

(道路の帰属)

第20条 開発区域内の道路については、当該工事が完了した後、速やかに稲敷市に帰属しなければならない。

(地位の承継)

第21条 第5条第1項の規定による同意を得た者又は第8条第1項の規定による確認を受けた者の相続人その他の一般承継人は、被承継人が有していた当該同意又は確認に基づく地位を承継する。

2 第5条第1項の規定による同意を得た者又は第8条第1項の規定による確認を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権その他当該宅地開発事業に関する工事を施行する権限を取得した者は、市長の承認を受けて、当該同意を得た者又は確認を受けた者が有していた当該同意又は確認に基づく地位を承継することができる。

(その他)

第22条 この告示の施行に関し必要な事項は、別に定める。

この告示は、平成17年3月22日から施行する。

別表(第7条関係)

区分

 

設計の基準

1 道路

(1) 幅員等

ア 開発区域内の道路の幅員は6m(道路延長が35m未満の場合は4m、35m以上 120m未満の場合は5m)以上であること。

イ 主要な道路は、開発区域外の平均車道幅員5.5m以上の道路(開発区域の周辺の道路の状況によりやむを得ないと認められるときは、車両の通行に支障がない道路)に接続していること。

ウ 「車両の通行に支障がない道路」の基準は、茨城県宅地開発関係資料集の開発行為の技術基準によること。

(2) 構造

開発区域内の道路は、アスファルト又はこれと同等以上の強度耐久力を有する舗装を施すこと。

雨水等を有効に排出するため必要な側溝・暗渠その他適当な施設が設けられていること。

(3) 行き止り道路

ア 道路は、行き止り道路でないこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

(ア) 当該道路について他の道路(行き止り道路を除く。)との接続が予定されていること。

(イ) 道路の終端が公園・広場その他これらに類するもので自動車の転回に支障がないものに接続していること。

(ウ) 道路の幅員が6m以上であること。

イ 行き止り道路が幅員6mであっても、延長が35mを超える場合は回転広場を設けること。

(4) すみ切り

道路が同一平面で交差し、又は屈折する場合はその角地には付表のすみ切りが設けられていること。

(5) 階段道路

道路は階段状でないこと。ただし、専ら歩行者の通行の用に供する道路で、通行の安全上支障がないと認められる場合は、この限りでない。

(6) 防護施設

道路が屈折し、又は道路に接して崖・水路等があるため交通上危険がある箇所には防護さく、その他適当な防護施設が設けられていること。

(7) 勾配

道路の縦断勾配は9%以下であり、横断勾配は適当な値であること。ただし、縦断勾配については地形等により止むを得ないと認められる場合は小区間に限り12%とすることができる。

2 排水施設

(1) 設置

ア 排水施設は5年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の降雨強度値を用いて算出した計画雨水量並びに生活又は事業に起因し、又は付随する排水量及び地下水量から算定した計画汚水量を有効に排出する構造及び能力を有すること。

イ 開発区域内の排水施設は、放流先の排水能力利水の状況その他の状況を勘案して、当該開発区域内の下水(雨水・処理された汚水等)を有効かつ適切に排出できるように、下水道・排水路その他の排水施設又は河川その他の公共の水域に接続していること。この場合において、放流先の排水能力によりやむを得ないと認められるときは、当該区域内において一時雨水を貯留する調整池その他の適当な施設を設けることを妨げない。

(2) 構造

ア 排水施設は堅固で耐久力を有する構造であること。

イ 排水施設は、コンクリート・煉瓦その他の耐水性の材料で造られていること。

ウ 排水施設は、道路及び他の排水施設の維持管理上支障がない場所に設けられていること。

エ 排水施設の暗渠である構造の部分の内径又は内のり幅は20cm以上であること。

オ 排水施設のうち暗渠である構造の部分の次の箇所にはマス又はマンホールが設けられていること。

(ア) 管渠の始まる箇所

(イ) 下水の流路の方向・勾配又は横断面が著しく変化する箇所、ただし、管渠の清掃に支障がないときは、この限りでない。

(ウ) 管渠の長さがその内径又は内のり幅の120倍を超えない範囲において管渠の維持管理上必要な箇所

3 給水施設

 

開発区域内の生活用水は、原則として公営水道の供給がうけられること。

4 消防水利

 

消防の用に供する水利施設等が、別に定めるところにより設けられていること。

5 地盤

 

地盤の軟弱な土地、出水のおそれがある土地又は著しく傾斜した土地等が開発区域に含まれているときは、地盤改良・盛土・段切り等安全上必要な措置が講じられていること。

6 擁壁

(1) 設置

ア 開発区域内に崖面があるとき又は切土若しくは盛土をした土地の部分に崖面が生ずるときは当該崖面が擁壁でおおわれていること。

ただし、切土をした土地の部分に生じることとなる崖若しくは崖の部分で次のいずれかに該当するもの又は土質試験等に基づく地盤の安定計算により擁壁でおおう必要がないと認められる崖若しくは崖の部分の崖面については、この限りでない。

(ア) 土質が次の表の左欄に掲げるものに該当し、かつ、その土質に応じ勾配が同表の中欄の角度以下のもの

(イ) 土質が次の表の左欄に掲げるものに該当し、かつ、その土質に応じ勾配が同表の中欄の角度を超え同表の右欄の角度のもので、崖の上端から下方に垂直離5m以内の部分

イ アただし書の規定により擁壁でおおうことを要しないときは、石張り・芝張り等の処理によりその崖面が保護されていること。

 

 

 

 

土質

擁壁を要しない勾配の上限

擁壁を要する勾配の下限

 

軟岩(風化の著しいものを除く)

60度

80度

風化の著しい岩

40度

50度

砂利・真砂土・関東ローム・硬質粘土その他これらに類するもの

35度

45度

 

(2) 構造

ア 高さが2mを超える擁壁の構造は、鉄筋コンクリート造・間知石練積み造りその他の積み造りであること。

イ 擁壁は壁面の面積3m2以内ごとに1個の耐水材料を用いた水抜穴(内径7.5cm以上)が設けられ、かつ、擁壁の裏面で水抜穴の周辺その他必要な部分には、砂利等の透水層が設けられていること。

(3) 地表水の処理

切土又は盛土をした土地の部分に生ずる崖面の上端に続く地盤面は、特別の事情のない限り、その崖の反対方向に雨水その他の地表水が流れるように勾配が設けられている。

別表の付表

 

既存道路幅員

4m以上6m未満

6m以上9m未満

9m以上12m未満

道路幅員

交差角

120°

90°

60°

120°

90°

60°

120°

90°

60°

9m以上12m未満

2

3

4

4

5

6

4

5

6

6m以上9m未満

2

3

4

4

5

6

4

5

6

4m以上6m未満

2

3

4

2

3

4

2

3

4

(単位メートル)

備考 道路の交差角がこの表に定める交差角のいずれにも該当しない場合には、この表に定める交差角の直近のものを適用する。

稲敷市宅地開発指導要綱

平成17年3月22日 告示第59号

(平成17年3月22日施行)