○障害を理由とする差別の解消の推進に関する教育委員会職員対応要領

平成29年3月1日

教育委員会訓令第1号

(目的)

第1条 この訓令は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、稲敷市教育委員会の所管に属する職員及び教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関に勤務する職員(以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第2条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害をいう。以下同じ。)を理由として、障害者(障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう。以下同じ。)でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 職員は、不当な差別的取扱いの禁止に関して、別記留意事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。

2 職員は、合理的配慮の提供に関して、別記留意事項に留意するものとする。

(所属長の責務)

第4条 職員のうち、所属長(課長、室長及び出先機関の長、園長並びに市立学校長をいう。以下同じ。)は、前2条に掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項に留意し、障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう注意するとともに、また、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者及びその家族その他の関係者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、所属する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 所属長は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、当該問題に迅速かつ適切に対処しなければならない。

(懲戒処分等)

第5条 職員が、障害者に対し不当な差別的取扱いをし、又は、過重な負担がないにも関わらず合理的配慮の不提供をした場合、その行為の態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。

(相談体制の整備)

第6条 職員による障害を理由とする差別を受けた障害者及びその家族その他の関係者(以下「相談者」という。)からの相談に的確に対応するため、相談窓口を設置する。

2 前項に規定する相談窓口は、教育委員会の所管に属する職員による相談については教育政策課、市立小学校及び市立中学校の職員並びに市教育センターの職員による相談については指導室とする。

3 相談等を行おうとする者は、対面、手紙、電話、FAX、電子メール等に加え、相談者がコミュニケーションを図る際に有効となる多様な手段を、第1項で定める相談窓口に相談を行うことができることとする。

4 第2項の相談窓口は、相談者から相談の内容となる事実の詳細その他必要な情報を聴取し、事実確認したうえで相談対象事案があると認めるときは、是正措置、再発防止策等について関係課等で情報を共有し、速やかに採るものとする。

(研修及び啓発)

第7条 障害を理由とする差別の解消を図るため、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。

2 新たに職員となった者等に対しては、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに課長補佐相当職以上の地位にある者となった職員に対しては、障害を理由とする差別の解消等に関し、求められる役割について理解させるために、それぞれ研修を実施するものとする。

3 職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等により、意識の啓発を図るものとする。

この訓令は、平成29年4月1日から施行する。

(令和2年教委訓令第6号)

この訓令は、令和2年4月1日から施行する。

別記(第2条、第3条関係)

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。

ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断視点

正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努める必要がある。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は別表第1のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、同表に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第5 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者、介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者、介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努める必要がある。

4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 教育委員会が実施する事務又は事業の全部又は一部を委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努める必要がある。

第5 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努める必要がある。

○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的・内容・機能を損なうか否か)

○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)

○ 費用・負担の程度

第6 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、別表第2のようなものが考えられる。なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

別表第1

(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)

対象所属

具体例

全所属

1 障害を理由に窓口対応を拒否する。

2 障害を理由に対応の順序を後回しにする。

3 障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

4 障害を理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。

5 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。

6 身体障害者補助犬の同伴を拒否する。

7 本人を無視して、介助者、付き添い者のみに話しかける。

学校教育機関

1 障害を理由に、学校への入学、授業等への参加、郊外教育活動若しくは式典参加を拒み、又はこれらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付す。

2 授業等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、学習評価の対象から除外し、又は評価において差を付ける。

※ 市教育センターは、学校教育機関に含めるとする。

別表第2 合理的配慮に当たり得る具体例

1 物理的環境への配慮

対象所属

具体例

全所属

1 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。

2 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく教える。

3 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。

4 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

5 車椅子を設置している施設では、必要に応じて利用を案内する。

6 エレベーターがない施設の上下階に移動する際、移動をサポートする。

7 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際に、別室を確保したり臨時の休憩スペースを設けたりする。

8 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。

9 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。

学校教育機関

1 移動に困難のある児童・生徒のために、保護者が送迎するための駐車場を確保する。可能な限り、参加する教室等について配慮する。

2 視覚情報の処理が苦手な児童・生徒のために、黒板周りの掲示等の情報量を減らす等、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。

3 知覚障害のある児童・生徒に対し、図又は写真を用いた日課表、活動予定表等を活用し、図又は用いた日課表、活動予定表等を活用し、自主的に判断し、見通しをもって活動できるようにする。

4 介助等を行う支援員、保護者、支援学生等の教室への入室、授業等でのパソコン入力支援、移動支援及び待合室での待機を許可する。

5 障害の特性により、頻繁に離席の必要のある場合には、教室等の座席の位置は、障害特性に合わせ配慮する。

※ 市教育センターは、学校教育機関に含めるとする。

2 意思疎通の配慮

対象所属

具体例

全所属

学校教育機関

1 筆談、図解、読み上げ、手話、身振り、口話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。なお、筆談をする際には、簡潔な言葉を使う、二重否定表現など難しい言い回しは避ける、携帯画面を利用する等読みやすい文字を使うと言った点に留意する。

2 説明文書の振り仮名付き版、点字版、拡大文字版、テキストデータ又は音声データ(コード化したものを含む。)を提供する。

3 声がよく、聞こえるように、また、口の動き、表情等を読めるようマスクを外して話をする。

4 必要に応じて、手話通訳者、要約筆記者等を配置する。

5 講座、講演会等で手話通訳者、要約筆記者の配置予定がある場合、案内チラシ等にその旨記載する。

6 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際は、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

7 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際は、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

8 意思疎通が不得意な障害者に対し、実物、絵カード等を活用して本人に分かる方法で意思を確認する。

9 駐車場等で、通常、口頭で行う案内を、紙にメモして渡す。

10 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示し、又は分かりやすい記述で伝達する。本人の依頼がある場合には、代読又は代筆といった配慮を行う。

11 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩又は暗喩、二重否定表現等を用いずに具体的に説明する。

12 障害者から申出があった際に、ゆっくりかつ丁寧に繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間標記ではなく午前・午後で表記する等の配慮を念頭においたメモを、必要に応じて適時に渡す。

13 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚若しくは聴覚に障害のある委員又は知的障害のある委員に対し、ゆっくりかつ丁寧な進行を心掛けるなどの配慮を行う。

14 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートをする等の配慮を行う。

15 コンピュータ等の情報通信技術を活用したコミュニケーション機器(音声を文字変換すること、表示された絵などを選択すること等ができる機器)を設置する。

※ 市教育センターは、学校教育機関に含めるとする。

3 ルール・慣行の柔軟な変更

対象所属

具体例

全所属

1 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続の順番を入れ替える。

2 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室席等を用意する。

3 スクリーン、手話通訳者、要約筆記、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。

4 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。

5 障害者の来庁が多数見込まれる場合は、敷地内の駐車場等において、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

6 他人との接触又は多人数の中にいることによる緊張等障害の特性又は施設の状況に応じて別室を準備する。

7 非公表の会議又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。

学校教育機関

1 テストにおいて、本人又は保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、時間の延長、拡大文字又は支援員等による読み上げを許可する。

2 授業で使用する教科書等について拡大したものを必要に応じて渡す。

3 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な児童・生徒に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材を用意する。

4 肢体不自由のある児童・生徒に対し、体育の授業の際に、上・下股の機能に応じてボールの大きさや投げる距離を変えたり、走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可したりする。

5 日常的に医療的ケアを要する児童・生徒に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関、介助者等との連携を図り、個々の状態及び必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。

6 慢性的な病気等のために他の児童・生徒と同じように運動ができない児童・生徒に対し、運動量を軽減する、代替となる運動を用意する等、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。

7 治療等のため学習できない期間が生じる児童・生徒に対し、保護者・医療機関等と連携し、無理のない範囲で学習機会を確保する。

8 読み・書き等に困難のある児童・生徒のために授業等でのタブレット端末等の情報通信技術を活用した機器の使用を許可したり、筆記に代えて口頭による学習評価を行ったりする。

9 発達障害等のため、人前での発表が困難な児童・生徒に対し、代替措置としてレポートを課したり、発表を録画したもので学習評価を行ったりする。

10 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある児童・生徒のために、能動的な学習活動等においてグループ編成するときには、事前に伝え、場合によっては本人の意向を確認する。また、こだわりのある児童・生徒のために、話合い、発表等の場合において、意思を伝えることに準備を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保し、又は個別に対応する。

※ 市教育センターは、学校教育機関に含めるとする。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する教育委員会職員対応要領

平成29年3月1日 教育委員会訓令第1号

(令和2年4月1日施行)