○稲敷市における公正な職務執行の確保等に関する条例
令和3年3月30日
条例第4号
(目的)
第1条 この条例は、市民等からの要望等及び不当要求行為への対応に関し必要な事項を定めることにより、職員の公正な職務の執行の確保を図り、もって市政に対する市民の信頼を確立することを目的とする。
(1) 任命権者 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第6条第1項に規定する任命権者(同条第2項の規定により権限を委任された者を含む。)をいう。
(2) 職員 地方公務員法第3条第2項に規定する一般職に属する職員(任命権者を除く。)並びに同条第3項第2号、第3号及び第4号に規定する特別職の職員をいう。
(3) 法令等 法律、法律に基づく命令、条例及び規則(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第2項に規定する規程、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程その他の地方公共団体の長以外の機関の定める規則その他規程を含む。)並びに任命権者がその職務を執行するために定める基準をいう。
(4) 要望等 職員以外の者が職員に対して行う市政に関する要望、提言、意見、苦情その他これらに類する行為(官公署の職務によるものを除く。)をいう。
(5) 不当要求行為 要望等のうち次に掲げるいずれかに該当する行為(職員の業務時間外に行われた行為を含む。)をいう。
ア 職員に対して、正当な理由がなく、次に掲げることを求める行為。ただし、法令等の規定に基づく手続においてなされた行為を除く。
(ア) 特定のものに対して有利又は不利な取扱いをすること。
(イ) 特定のものに対して義務のないことを行わせ、又はその権利の行使を妨げること。
(ウ) 職務上知ることのできた秘密を漏らすこと。
(エ) 法令等に違反する行為を行うこと。
イ 職員に対して、自らの要求を直接的又は間接的に実現しようとして行う次に掲げる行為
(ア) 直接的又は間接的に、職員又はその親族等の生命、身体、身分、財産等に対して危害を加える旨を伝える行為
(イ) 職員又はその親族等を侮辱し、又は名誉を棄損する行為
(ウ) 職員又は職員が使用する設備、備品等に対して、身体又は物を用いて暴行を加え、又は加えようとする行為
(エ) 職員が恐怖を感じ、反論し得ない状況に追い込む程度の脅迫的行為
(オ) 特定の職員又は任命権者による対応を繰り返し求める行為
(カ) 正当な理由なく長時間居座る行為
(キ) 正当な理由なく職員に付きまとう行為
(ク) その他社会的相当性を逸脱し、職員の業務に支障を生じさせる行為
(任命権者の責務)
第3条 任命権者は、職員の公正な職務の執行を確保するための体制の整備、研修の実施その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(職員の責務)
第4条 職員は、要望等を誠実に受け止めるとともに、適正に対応し、公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員は、要望等を受けたときは、特定のものに対して有利又は不利な取扱いをしないよう、慎重かつ適切に対応しなければならない。
3 職員は、不当要求行為を受けた場合は、組織的に毅然とした態度で対応し、不当要求行為と判断したときは、これを拒否しなければならない。
(市民等の責務)
第5条 市民その他職員の職務の執行に関係する者は、不当要求行為により職員の公正な職務の執行を妨げてはならない。
(対策責任者)
第6条 任命権者は、市の組織内における不当要求行為の予防、対策その他の措置を日常的に講じるために、不当要求行為防止対策責任者(以下「対策責任者」という。)を置く。
2 対策責任者は、課長その他課長に準ずる職にある者をもって充てる。
3 対策責任者は、不当要求行為が発生し、又はそのおそれがあると認めるときは、管理又は監督する職員に対して、直ちに適切な指導、助言その他必要な措置を講じなければならない。
4 対策責任者は、その所管する課、室又は出先機関における不当要求行為の発生状況及びその対応状況について、適切に把握しなければならない。
(公正職務審査会)
第7条 次に掲げる事項に係る調査及び審議をするため、稲敷市公正職務審査会(以下「審査会」という。)を置く。
(1) この条例の定めるところによりその権限に属させられた不当要求行為に係る事項
(2) 公正な職務の執行を確保するために必要な体制の整備等に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、公正な職務の執行の確保に関し市長が必要と認める事項
2 審査会に委員長、副委員長及び委員を置く。
3 審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(要望等の記録)
第8条 職員は、要望等を書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録を含む。)以外の方法により受けたときは、規則で定めるところにより、その内容を記録するものとする。この場合において、職員は、当該記録をするに当たり、不実又は虚偽の記載をしてはならない。
2 職員は、前項の規定により記録した要望等の内容を対策責任者に報告しなければならない。
(1) 要望等が公式又は公開の場で行われた場合
(2) 要望等の用件がその場において終了し、職員が要望等に対し改めて対応する必要がない場合
(3) 要望等が公の施設の利用者その他の関係者との間でその利用に関し日常的に行われる場合
(4) 要望等が他の制度に基づき記録される場合
(不当要求行為等への対応)
第10条 職員は、不当要求行為を受けたと思料したときは、規則で定めるところにより記録をするとともに、対策責任者に対して、当該記録に基づき不当要求行為の内容を報告しなければならない。
2 対策責任者は、職員から前項の規定による報告を受けたときは、要望等が不当要求行為に該当するかどうかを判断した上、その結果を含めて任命権者に報告しなければならない。
(警告)
第11条 任命権者は、不当要求行為が職員の公正な職務の執行を妨げると認めるときは、当該不当要求行為を行った者(以下「不当要求行為者」という。)に対し、当該不当要求行為の内容その他の事項を記載した書面をもって、不当要求行為を再度行わないよう警告するものとする。
2 任命権者は、警告をする場合又は当該要望等が不当要求行為に該当するかどうかの判断に必要と認める場合は、あらかじめ、審査会に諮問し、その意見を求めることができる。
3 前項の規定にかかわらず、対策責任者は、不当要求行為が行われた場合は、不当要求行為者に対して、注意をすることができる。
(公表)
第12条 任命権者は、警告をした場合において、その後も不当要求行為を受けたときは、次に掲げる事項を公表することができる。
(1) 不当要求行為者の氏名(法人その他の団体にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 不当要求行為の内容
(3) 前2号に掲げるもののほか、任命権者が必要と認める事項
2 任命権者は、前項の規定による公表をしようとするときは、不当要求行為者に対してその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 任命権者は、前項の規定による手続を行った場合において、なお公表をしようとするときは、あらかじめ、審査会に諮問し、その意見を求めなければならない。
(関係機関への情報提供)
第13条 任命権者は、不当要求行為を受けたときは、必要に応じ、警察その他の関係機関に対して当該不当要求行為に係る情報を提供することができる。
2 任命権者は、前項の規定による手続をとる場合には、審査会に諮問し、その意見を求めるものとする。
3 任命権者は、第1項の規定による手続をとる場合には、弁護士等に委任をすることができる。
(運用状況の公表)
第15条 市長は、規則で定めるところにより、毎年度、この条例の運用状況を取りまとめ、公表するものとする。
(委任)
第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。