○稲敷市土採取事業規制条例
平成17年3月22日
条例第121号
(趣旨)
第1条 この条例は、土採取事業について必要な規制を行うことにより、土採取事業に伴う災害を防止するとともに採取跡地について緑化等による適正な整備を図り、もって住民の福祉の増進に寄与することを目的として必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この条例において「土採取事業」とは、一定の利用目的をもって土を掘削し土を他に移動する事業及び単なる土の掘削又は切取り等で災害の発生等につながると一般的に認められるものをいう。
(適用事業)
第3条 この条例は、次の各号のいずれかに該当する土採取事業を除き、土の採取場(土を採取する一団の土地をいう。以下「採取場」という。)の面積が1,000平方メートル以上又は採取場において採取する土の量が2,000立方メートル以上の土採取事業について適用する。ただし、採取場の面積が1,000平方メートル未満であっても採取跡地に隣接し、1,000平方メートルを超えるものは、一団の土地とみなし適用する。
(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第125条第1項の規定による許可に係る土採取事業
(2) 港湾法(昭和25年法律第218号)第37条第1項の規定による許可に係る土採取事業
(3) 鉱業法(昭和25年法律第289号)第63条第1項の規定による届出又は同条第2項(同法第87条において準用する場合を含む。)の規定による認可に係る施業案に従って行う土採取事業
(4) 採石法(昭和25年法律第291号)第33条の規定による認可に係る採取計画に従って行う岩石の採取に伴う土採取事業
(5) 森林法(昭和26年法律第249号)第34条第2項(同法第44条において準用する場合を含む。)の規定による許可に係る土採取事業
(6) 道路法(昭和27年法律第180号)第91条第1項の規定による許可に係る土採取事業
(7) 海岸法(昭和31年法律第101号)第8条第1項の規定による許可に係る土採取事業
(8) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第18条第1項の規定による許可(同法第19条の規定により許可を受けたものとみなす場合の許可を含む。)に係る土採取事業
(9) 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第12条第1項の規定による許可に係る宅地造成等に関する工事として行う土採取事業
(10) 河川法(昭和39年法律第167号)第25条、第27条第1項、第55条第1項又は第57条第1項の規定による許可に係る土採取事業
(11) 首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)第7条第1項の規定による届出に係る土採取事業
(12) 砂利採取法(昭和43年法律第74号)第16条の規定による認可に係る採取計画に従って行う砂利の採取に伴う土採取事業
(13) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条の規定による許可に係る開発行為として行う土採取事業
(14) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第7条第1項の規定による許可又は同条第3項の規定による届出に係る土採取事業
(15) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第27条第3項の規定による許可に係る土採取事業
(16) 茨城県風致地区内における建築行為等の規制に関する条例(昭和45年茨城県条例第20号)第2条第1項の規定による許可に係る土採取事業
(17) 茨城県自然環境保全条例(昭和48年茨城県条例第4号)第6条第4項の規定による許可、同条例第8条第1項の規定による届出又は同条例第13条第1項の規定による届出に係る土採取事業
(18) 国及び地方公共団体その他規則で定める公共的団体が事業主となって行う土採取事業
(19) 農業、林業又は漁業の用に供する土採取事業で規則で定めるもの
(20) 非常災害のため必要な応急措置として行う土採取事業
(21) 公共の用に供する土採取事業で規則で定めるもの
(22) その他特に市長が必要と認めるもの
(土採取事業を行う者の責務)
第4条 土採取事業を行おうとする者は、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 土採取事業に伴う災害を防止するとともに、採取場の跡地について緑化等による適正な整備を図るための必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(2) 採取場の周辺に土採取事業に関係がある公共施設がある場合は、あらかじめ公共施設の管理者の同意を得ること。
(土地所有者の責務)
第5条 採取場の土地の所有者は、土採取事業を行う者が前条の規定により講ずる措置に協力するよう努めなければならない。
(事業の申請)
第6条 土採取事業の事業主は、土採取事業を行おうとするときは、当該土採取事業を着手する日の30日前までに当該土採取事業に係る採取場ごとに当該土採取事業の事業主の氏名及び住所(法人にあっては名称代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びに採取計画を市長に提出し許可を得なければならない。
2 前項の採取計画には、次に掲げる事項を定めなければならない。
(1) 採取場の区域
(2) 採取する土の量及び採取期間
(3) 土採取事業の方法及び土採取事業のための施設に関する事項
(4) 土採取事業に伴う土砂の崩壊・流出等の防止のための方法及び施設に関する事項
(5) 土採取事業に係る採取場跡地の整備に関する事項
(6) 採取した土の搬出方法に関する事項
(7) 土採取事業の請負人及び現場責任者の氏名
(8) その他規則で定める事項
(事業の許可)
第7条 市長は前条第1項の規定による許可については、次に掲げる事項を勘案してするものとする。
(1) 次に掲げる地域又は区域は原則として含まないこと。
ア 自然環境保全地域及び緑地環境保全地域の特別地域
イ 近郊緑地保全地域
ウ 自然公園の特別地域
エ 農業振興地域内の農用地区域及びその他規則で定める区域
オ 保安林区域その他規則で定める区域
カ 鳥獣保護区のうち特別保護区
キ 河川保全区域及び急傾斜地崩壊危険区域
ク 風致地区
ケ 文化財保護保全指定区域
コ その他規則で定める区域
(2) 地形、地質その他の自然環境条件から、崖崩れ、土砂の流出、地すべり及び出水等の発生が予測される区域は含まないこと。
(3) 次に掲げる自然環境の保全及び災害の防止等の措置が講ぜられること。
ア 自然環境の最小限の変更と植生の回復等の措置
イ 治山、治水及び水源涵養に支障を及ぼさないような措置
ウ 樹林地の積極的な配置と保護措置
エ ため池その他の水面の保全措置
オ 雨水が流入する河川等の排水能力に支障を及ぼさないような措置
(4) 採取場以外の道路の保全整備及び開発に支障を及ぼさないこと。
(5) 農林、漁業との健全な調和及び地域住民の生活環境の保持等、地域との調和が図られること。
2 市長は、前条第1項の規定による許可については、稲敷市開発調整会議の意見を聴かなければならない。
3 市長は、前条第1項の規定による許可をするときはその旨を、条件を付して許可するとき、又は許可しないときは、その条件又は理由を明らかにしてその旨を、事業申請書を提出した者に通知しなければならない。
(採取計画の基準)
第8条 事業主は、土採取事業の採取計画(以下「採取計画」という。)を定めるに当たって、別表に定める採取計画の基準に適合するようにしなければならない。
(事業の開始)
第9条 事業主は、第6条第1項の規定による許可を受けた事業を開始しようとするときは、事業開始7日前までに、市長に届出をしなければならない。
(協定の締結)
第12条 事業主は、土採取事業の施工については、市長と協定を締結しなければならない。
(防災等の措置)
第13条 事業主は、土採取事業の施工に当たっては、当該土採取事業に係る区域及びその周辺の地域において、次に掲げる事態を生じさせないように、適切な措置を講じなければならない。
(1) 土砂崩れ、出水等による災害が生ずること。
(2) 河川及び水路の利水又は排水に支障を及ぼすこと。
(3) 排水路その他の排水施設の使用に支障を及ぼすこと。
(4) 交通に支障を及ぼすこと。
2 事業主は、土採取事業を廃止し、又は停止しようとするときは、当該土採取事業に係る区域及びその周辺の区域において、前項各号に掲げる事態を防止するため、必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定により職員が立入検査をするときは、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(報告の徴収等)
第23条 市長は、この条例の施行に必要な限度において土採取事業の事業主に対し、土採取事業に関し必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。
(施行の確保)
第24条 市長は、土採取事業の事業主が、この条例の規定に違反して土採取事業を行ったときは、それらの者に対し、この条例の適正な施行を確保するため必要な行政措置を講ずるものとする。
(委任)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(罰則)
第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第27条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1) 第22条第1項の規定による検査を拒み妨げ、又は忌避した者
(2) 第23条の規定による報告をせず、資料を提出せず、又は虚偽の報告をした者
第28条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(1) 第14条の規定による標識を掲示しなかった者
(2) 第20条第1項の規定による届出をしなかった者
(両罰規定)
第29条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年3月22日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の江戸崎町土採取事業規制条例(平成12年江戸崎町条例第19号)、新利根町土採取事業規制条例(昭和49年新利根町条例第8号)、桜川村土採取事業規制条例(昭和49年桜川村条例第5号)又は東町土採取事業規制条例(昭和58年東町条例第14号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。
3 この条例の施行の日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。
附則(令和5年条例第12号)
この条例は、令和5年5月26日から施行する。
別表(第8条関係)
採取計画の基準
区分 | 採取計画の基準 | |||||
1 掘削 | (1) 採取工法 | ア 採取工法は、通常「階段式工法」「傾斜式工法」又は「平面式工法」で行い、いわゆる「エグリ掘り」は行わないこと。 イ 隣接地との保安距離は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ保安距離をとること。 1 隣接地に宅地、国道、県道及び市道並びに鉄塔の敷地がある場合5メートル以上 2 隣接地に家屋等の建物等がある場合、当該建物の軒下から10メートル以上 3 その他の場合2メートル以上 ウ 採取途中の災害防止のため、極力「切下げ方式」を採用すること。 | ||||
(2) 最終法面 | ア 最終法面は、極力階段を設けること。 イ 階段を設ける場合は、切土高5メートル以下で、階段幅は2メートル以上とすること。 | |||||
(3) 深さ | 掘削の深さは、掘削する場所の周辺の土地のうち最も低い部分よりも低くしないものとする。 | |||||
(4) 切土の標準勾配 | 土質及び切土高に応じ、次に示す角度以下とすること。 | |||||
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| 土質 | 切土高5m以上の場合 | 切土高5m以下の場合 |
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軟岩(風化の著しいものを除く) | 60度 | 70度 | ||||
風化の著しいもの | 40度 | 50度 | ||||
砂利、真砂土、粘土その他これらに類するもの | 35度 | 45度 | ||||
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2 災害防止 | (1) 崩壊防止対策 | ア 地山の亀裂、陥没等の異常の有無及び含水、ゆう水の状態を絶えず監視するとともに、計画的採取に努めること。 イ 1日の作業終了時に、落石、倒木のおそれのある浮石や立木がある場合は、その日のうちに除去すること。 ウ 気象状態に絶えず留意し、気象状態の悪化が予想される場合は、作業の中止、危険箇所の保全処置等適切な措置を講ずること。 | ||||
(2) 土砂流出対策 | 採取中、集中豪雨その他の原因で土砂が付近に流出しないよう、土俵積、土盛堤、柵等の仮設工事を行い、完了後も土砂流出のおそれがある場合は、擁壁、堰堤その他これに代わり得る施設を築造し、土砂の流出に対処すること。 | |||||
(3) 排水施設 | ア 採取中、表水面によって法面が洗掘され、又は崩壊するおそれのある場合は、法肩に接する地山に法肩に沿って素掘側溝、コンクリートラフ等による排水溝を設置し、地山からの流水が法面に流れ込まないよう処置すること。また、完了後は法肩線又は小段に集排水施設を設け、縦排水溝、斜排水溝及びその接合点には集排水桝等も考慮して円滑に排水すること。 イ ゆう水によって法面が洗掘され、又は崩壊するおそれのある場合は、水抜きのための水平孔、盲渠等を設置してゆう水の排除措置を講ずること。 | |||||
(4) 採取跡地の保全、利用 | ア 採取行為を完了し、又は廃止したときは跡地の崩壊を防止するため、法面には保護工を施行すること。 イ 採取跡地の利用計画は、周辺の環境と調和するよう配慮すること。また、採取しようとする土地が農地の場合は、農地に復元すること。 | |||||
3 公害保安対策 | (1) 立入禁止柵 | 採取場内は、一般の立入りを禁じ周囲は有刺鉄線柵、トタン塀、板塀によって囲い、出入口には扉を設け標識をつけること。 始業、終業の時間を明確にし、騒音公害になるような早朝、深夜作業を行わないこと。 | ||||
(2) 粉じん対策 | 採取場からの粉じん、運搬路から生ずるホコリ等が周辺の生活環境を阻害しないよう散水、防じん材散布、運搬車両の洗い場を設置する等適切な措置をとること。 | |||||
(3) 交通対策 | ア 運搬車の公道への出入口等必要な箇所には、交通整理員を配置し安全上の配慮をすること。 イ 積込場所において規定積載量を越えないよう留意するとともに、車両には必ず全面シートを装置し、路面を汚損したときは速やかに清掃すること。 | |||||
4 緑の保護緑化対策 |
| ア 樹林のうち、景観上その他の見地から重要と思われるものについては、極力その部分又は一部の保存を図ること。 イ 採取跡地の法面については、原則として緑化することとし、周辺の状況、掘削前の状態を考慮して次のとおり植樹、植草等を行うこと。 (1) 採取に当たり、山林の一部を伐採し付近の景観を悪化させた場合は、植樹、植草を併用して行い緑の復元を図るものとする。 (2) 前記以外の場合は、植草、種子吹付けを行うものとする。 |