○稲敷市男女共同参画推進条例

平成19年3月29日

条例第20号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第8条―第19条)

第3章 男女共同参画審議会(第20条)

第4章 補則(第21条)

附則

21世紀をむかえ、社会は少子高齢化の加速化や経済活動の国際化、高度情報社会の進展など様々な変化が急速に進んでいる状況にあります。

このような状況に的確に対応していくためには、地域に暮らす住民一人ひとりが、その能力を発揮できる社会、すなわち男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、かつ、共に責任を担う男女共同参画社会の実現は大変重要な課題となっています。

我が国では、平成11年に男女共同参画社会基本法を制定し、男女共同参画社会の実現を21世紀における最重要課題と位置付け、総合的な施策の推進の重要性を示しています。

平成17年にスタートした稲敷市が将来像として掲げる「みんなが住みたい素敵なまち」を目指し新しいまちづくりを進めるためには、男女の別にかかわらず、いつでも、どこでも、だれからも大事にされていると実感でき、自分の意思で自由に生き方を選択することのできる社会の実現が必要です。

よって、ここに市、市民、事業者が一体となって男女共同参画社会の形成に関する取組みを総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の基本的施策に関し必要な事項を定めることにより、男女共同参画社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、男女が等しく政治的、経済的、社会的及び文化的な利益を享受し、いきいきと生きていけることをいう。

(2) 積極的改善措置 意思決定の場に参画する機会及び社会的便宜を享受する機会等において、男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に居住する者、勤務する者又は在学する者をいう。

(4) 事業者 営利又は非営利を問わず、市内において事業活動を行うすべての個人、法人及び団体をいう。

(5) セクシュアル・ハラスメント 他の者の意思に反し、性的な言動等により不快感や不利益を与え、又はその生活環境を害することをいう。

(6) ドメスティック・バイオレンス 男女間における身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的言動をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次の各号の基本理念に基づいて、家庭、学校、職場、地域その他社会のあらゆる分野(以下「社会のあらゆる分野」という。)で推進されなければならない。

(1) 男女が、性別によって差別的な取扱いを受けることなく、個人としての能力を発揮する機会が均等に確保され、その人権が尊重されること。

(2) 性別によって慣習的に固定された役割分担に基づく社会制度又は慣行をなくし、男女が自由に自分にふさわしい生き方を選択できるよう配慮されること。

(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は地域及び民間の団体における方針の立案及び決定に参画する機会が確保されること。

(4) 男女が、お互いの協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の対等な一員としての役割を果たし、かつ、就労をはじめとする社会活動に参画できるよう配慮されること。

(5) 男女共同参画の推進に向けた取組みが国際社会における取組みと密接な関係を有していることを考慮して、国及び県の動向のみならず、広く国際社会の動向に留意すること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、国、県及び他の地方公共団体と情報交換しつつ、市民及び事業者と協力して男女共同参画推進施策を実施しなければならない。

3 市は、男女共同参画推進施策以外の施策においても、積極的に男女共同参画を推進しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、男女平等及び男女共同参画についての理解を深め、基本理念にのっとり、社会のあらゆる分野において男女共同参画の実現に努めるとともに、市が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、男女平等及び男女共同参画についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、積極的に男女共同参画の実現に努めるとともに、市が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第7条 市民のだれもが、社会のあらゆる分野において、次に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 性別を理由とする権利侵害及び差別的な取扱い

(2) セクシュアル・ハラスメント

(3) ドメスティック・バイオレンス

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(男女共同参画計画)

第8条 市長は、男女共同参画の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の実現に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定し、これを公表する。

2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、第20条に規定する稲敷市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずる。

3 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(市民及び事業者の理解を深めるための措置)

第9条 市は、男女共同参画に関して広く市民及び事業者の理解を深めるため、積極的に情報の提供及び啓発活動を行う。

(市民及び事業者への支援)

第10条 市は、市民及び事業者が行う男女共同参画の実現に向けた活動を支援するため、当該活動に必要な情報の提供及び資金的援助その他の支援を行うよう努める。

(男女共同参画の実現に関する教育)

第11条 市は、学校教育その他あらゆる教育の場において、男女共同参画の実現に配慮した教育の充実が図られるよう努める。

2 市民は、将来を担う子供たちの教育に関し、幼少期から家庭及び地域で男女共同参画の実現に配慮した教育を行うよう努める。

(家族経営的な農業及び商工業等の分野における男女共同参画の実現)

第12条 市は、家族経営的な農業及び商工業等の分野における男女共同参画を確立するため、家族全員が主体的にその能力を十分発揮し適正な評価を受け、経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための環境整備に努める。

(家庭生活とその他の活動との両立支援)

第13条 市は、家庭生活における男女共同参画を実現するため、男女が共に育児、介護その他の家庭生活における活動と社会のあらゆる分野における活動との両立が円滑にできるよう、必要かつ十分な支援を行うよう努める。

(積極的改善措置)

第14条 市は、社会のあらゆる分野における活動について、男女間に参画する機会の格差が生じている場合、市民及び事業者と協力し、積極的改善措置を講ずるよう努める。

2 市は、審議会等の委員を委嘱し、又は任命するに当たっては、積極的改善措置を講ずることにより、男女の数がほぼ同数になるよう努める。

3 市は、男女共同参画を推進するため、職員の能力開発を進めるとともに、その能力と適性に応じて、適切に人材を配置するよう努める。

(推進体制の整備等)

第15条 市は、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な推進体制の整備及び財政上の措置、その他必要な措置を講ずるよう努める。

(調査研究)

第16条 市は、男女共同参画を実現するために必要な情報収集及び調査研究を行う。

(苦情等の処理)

第17条 市民及び事業者は、男女共同参画の実現に関する施策若しくは男女共同参画の実現に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情又は相談その他の意見があるときは、市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の申し出を受けたときは、関係機関等と連携及び協力を行い、適切な措置を講ずるよう努める。

(年次報告)

第18条 市長は、男女共同参画の実現に関する施策の実施状況等について、毎年報告書を作成し、市民に公表する。

(男女共同参画推進月間)

第19条 男女共同参画の推進について、市民及び事業者の関心と理解を深めるとともに、男女共同参画の推進に関する活動が積極的に行われるようにするため、男女共同参画推進月間を設ける。

2 前項の男女共同参画推進月間は、毎年11月とする。

第3章 男女共同参画審議会

(男女共同参画審議会の設置等)

第20条 男女共同参画の推進に関する事項について、市長の諮問に応じ、調査審議するため、稲敷市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項について調査審議する。

(1) 基本計画に関する事項

(2) 男女共同参画の推進に関する基本的事項及び重要事項

3 審議会は、男女共同参画の推進に関する事項について、必要に応じ市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、市長が委嘱する委員10人以内をもって組織し、男女のいずれか一方の委員の数は、総数の10分の4未満であってはならない。

5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 補則

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

稲敷市男女共同参画推進条例

平成19年3月29日 条例第20号

(平成19年4月1日施行)