○稲敷市債権管理条例

令和元年9月27日

条例第5号

(目的)

第1条 この条例は、市の債権の管理に関する事務の処理について一般的基準その他必要な事項を定めることにより、市の債権の管理の適正化を図り、もって公正な行財政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利をいう。

(2) 市税 市の債権のうち、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係る債権をいう。

(3) 公債権 市の債権のうち、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第231条の3第1項に規定する分担金、使用料、加入金、手数料、過料その他の普通地方公共団体の歳入に係る債権をいう。

(4) 強制徴収公債権 公債権のうち、法第231条の3第3項その他法律の規定により国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができる債権をいう。

(5) 非強制徴収公債権 公債権のうち、強制徴収公債権以外の債権をいう。

(6) 私債権 市の債権のうち、市税及び公債権以外の債権をいう。

(7) 非強制徴収債権 非強制徴収公債権及び私債権をいう。

(8) 債権管理者 市長及び公営企業の管理者の権限を行う者をいう。

(法令等との関係)

第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例若しくはこれに基づく規則等(法第138条の4第2項に規定する規程及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程を含む。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。

(債権管理者の責務)

第4条 債権管理者は、法令又は条例若しくはこれに基づく規則等の定めに従い、市の債権の適正な管理に努めなければならない。

2 債権管理者は、市の債権の管理に関する事務の状況を的確に把握するとともに、市の債権を適正に管理するための体制を整備するものとする。

3 債権管理者は、納付相談等により債務者の置かれている状況を十分に把握し、福祉的な配慮又は多重債務による専門相談が必要であること等が判明した場合は、専門の窓口へつなげる等の対応をするように努めなければならない。

(台帳の整備)

第5条 債権管理者は、市の債権を適正に管理するため、規則等で定める事項を記載した台帳を整備するものとする。

(徴収計画)

第6条 債権管理者は、市の債権を計画的に徴収するため、毎年度徴収計画を策定するものとする。

(督促)

第7条 債権管理者は、市の債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、法令の定めるところにより、期限を指定してこれを督促しなければならない。

(延滞金)

第8条 債権管理者は、公債権について、前条の規定による督促をした場合において、履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、年14.6パーセント(当該履行期限の翌日から1月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を当該債権の額に乗じて計算した金額に相当する延滞金を徴収するものとする。

2 前項に規定する年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、365日当たりの割合として計算するものとする。

3 第1項本文の場合において、延滞金の確定金額に100円未満の端数があるとき、又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。

4 延滞金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる債権の額に1,000円未満の端数があるとき、又はその債権の全額が2,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。

5 延滞金を徴収する場合において、徴収した金額がその延滞金の額の計算の基礎となる債権の額に達するまでは、その徴収した金額は、まずその計算の基礎となる債権に充てるものとする。

6 債権管理者は、履行期限までに履行しなかったことについてやむを得ない事由があると認める場合においては、同項の延滞金を減額し、又は免除することができる。

(遅延損害金)

第9条 債権管理者は、私債権について履行期限までに履行しない者がある場合においては、契約に別段の定めがあるものを除き、履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、当該債権に適用される法令に規定する年当たりの割合を当該債権の額に乗じて計算した金額に相当する遅延損害金を徴収するものとする。ただし、債権管理者は、やむを得ない理由があると認めるときは、これを徴収しないことができる。

2 前項に規定する年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、365日当たりの割合として計算するものとする。

3 第1項本文の場合において、遅延損害金の確定金額に100円未満の端数があるとき、又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。

4 遅延損害金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる債権の額に1,000円未満の端数があるとき、又はその債権の全額が2,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。

5 遅延損害金を徴収する場合において、徴収した金額がその遅延損害金の額の計算の基礎となる債権の額に達するまでは、その徴収した金額は、まずその計算の基礎となる債権に充てるものとする。

6 債権管理者は、履行期限までに履行しなかったことについてやむを得ない事由があると認める場合においては、同項の遅延損害金を減額し、又は免除することができる。

(滞納処分等)

第10条 債権管理者は、市税及び強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶予及び滞納処分の停止については、法令の規定によりこれを行わなければならない。

(強制執行等)

第11条 債権管理者は、非強制徴収債権について、第7条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第15条に規定する徴収停止の措置をとる場合又は第16条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。

(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証がある非強制徴収債権を含む。)については、当該非強制徴収債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴収債権で同号の措置をとってもなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(専決処分)

第12条 債権管理者は、非強制徴収債権について、訴訟手続等により履行を請求する場合において、法第180条第1項の規定に基づき議決によって指定された事項については、専決処分により処理することができる。

2 債権管理者は、前項の規定により専決処分をしたときは、これを議会に報告しなければならない。

(履行期限の繰上げ)

第13条 債権管理者は、市の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第16条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。

(債権の申出等)

第14条 債権管理者は、市の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか、債権管理者は、市の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第15条 債権管理者は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約等)

第16条 債権管理者は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、規則に定める手続きにより、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る非強制徴収債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る非強制徴収債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその当該債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 債権管理者は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した遅延損害金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る債権は、徴収すべきものとする。

(免除)

第17条 債権管理者は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る非強制徴収債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(放棄)

第18条 債権管理者は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等の全部又は一部を放棄することができる。ただし、非強制徴収債権(同一の債務者に係る同一の名称の非強制徴収債権に限る。)の額が100万円以上の場合は、この限りでない。

(1) 当該非強制徴収債権(当該非強制徴収債権の時効消滅について、時効の援用を要するものに限る。)について、消滅時効に係る時効期間が満了したとき(時効期間経過後に債務者が債権の一部を弁済したときその他債務者が時効の援用をしない特別の理由がある場合を除く。)

(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定により債務者が当該債権につきその責任を免れたとき。

(3) 債務者が死亡し、その相続人が限定承認をした場合、その相続人全員が相続放棄をした場合又はその相続人が存在しない場合において、その相続財産の価額が強制執行した場合の費用並びに当該非強制徴収公債権等に優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の権利の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。

(4) 第11条に規定する強制執行等の手続又は第14条に規定する債権の申出等の措置をとっても、なお完全に履行されない当該非強制徴収債権について、強制執行等の手続又は債権の申出等の措置が終了したときにおいて、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(5) 第15条に規定する徴収停止の措置をとった当該非強制徴収債権について、徴収停止の措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(6) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、相当の期間を経過した後においても、なお資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

2 債権管理者は、前項の規定により非強制徴収債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。

(滞納者に関する情報)

第19条 債権管理者は、履行期限までに履行されていない市の債権がある場合において、当該市の債権の管理に関する事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、当該事務の遂行に必要な限度で、当該市の債権に係る債務者の個人情報を、その保有するに当たって特定された利用の目的以外の目的のために利用し、又は相互に提供し、若しくは収集することができる。ただし、国税通則法(昭和37年法律第66号)第127条及び地方税法第22条の秘密に該当する情報(以下「税務調査情報」という。)を除く。

2 債権管理者は、履行期限までに履行されていない市の債権が市税又は強制徴収公債権である場合は、前項ただし書の規定にかかわらず、債務者に係る事務相互に、税務調査情報を利用することができる。

3 債権管理者は、前2項の規定により利用し、又は収集した情報を当該市の債権の管理に関する事務以外の事務に利用してはならない。

4 債権管理者は、第1項及び第2項の規定により利用し、又は収集した情報を当該市の債権の管理に関する事務に利用する場合は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)稲敷市個人情報保護法施行条例(令和5年稲敷市条例第2号)稲敷市議会の個人情報の保護に関する条例(令和5年稲敷市条例第1号)その他の法令の規定を遵守し、当該債務者及び第三者の権利利益を不当に侵害することのないようにしなければならない。

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和2年1月1日から施行する。

(延滞金の割合の特例)

2 当分の間、第8条第1項に規定する延滞金の年14.6パーセントの割合及び年7.3パーセントの割合は、同項の規定にかかわらず、各年の延滞金特例基準割合(平均貸付割合(租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第93条第2項に規定する平均貸付割合をいう。)に年1パーセントの割合を加算した割合をいう。以下同じ。)が年7.3パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6パーセントの割合にあってはその年における延滞金特例基準割合に年7.3パーセントの割合を加算した割合とし、年7.3パーセントの割合にあっては当該延滞金特例基準割合に年1パーセントの割合を加算した割合(当該加算した割合が年7.3パーセントの割合を超える場合には、年7.3パーセントの割合)とする。

(令和2年条例第38号)

(施行期日)

1 この条例は、令和3年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後のそれぞれの条例の規定は、令和3年1月1日以後に延滞金が生じた場合について適用し、同日前に延滞金が生じた場合については、なお従前の例による。

(令和5年条例第3号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

稲敷市債権管理条例

令和元年9月27日 条例第5号

(令和5年4月1日施行)