○稲敷市議会基本条例

令和4年6月13日

条例第15号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)

第3章 市民と議会との関係(第4条―第6条)

第4章 議会と市長等との関係(第7条―第10条)

第5章 議会運営(第11条―第13条)

第6章 議会機能の充実強化(第14条―第16条)

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条―第19条)

第8章 大規模災害等への対応(第20条・第21条)

第9章 条例の位置付け及び見直し手続(第22条・第23条)

附則

稲敷市議会は、日本国憲法に基づく地方自治制度の二元代表制の下、選挙により市民の負託を受けた議員の活動により運営され、本市の意思決定機関としての役割を担っている。

近年、地方分権の進展に伴い、地方公共団体の自己決定及び自己責任の範囲は拡大しており、議会が市政に果たす役割は、ますます重要になっている。

このため、合議制の議事機関である議会は、独任制の執行機関である市長との健全な緊張関係を保持しながら、監視機能、調査機能、政策形成機能等を最大限に発揮するとともに、開かれた議会とするために市民の声を常に聴き、市政に反映できるように機能強化に努めなければならない。

また、議会を構成する議員は、政治倫理を遵守し、誠実かつ公正に活動しなければならない。

稲敷市議会は、これまで取り組んできた議会改革の更なる推進を図り、より一層、市民に開かれた議会を目指すことにより、市民の福祉の向上及び市政の発展に寄与することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、稲敷市議会(以下「議会」という。)が二元代表制の下、市民と議会との関係及び議会と市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との関係を明らかにするとともに、議会活動の基本的事項を定めることにより、市の意思決定機関である議会が市民の負託に応え、市民福祉の向上及び市政の発展に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、議員の合議機関として、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公正性、透明性及び信頼性を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 議決の責任を深く認識し、市民に対し、説明責任を果たすこと。

(3) 市民の目線で適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。

(4) 市民の意見を把握し、政策形成に反映できるよう、市民参加の拡充に努めること。

(5) 市民に分かりやすい議会運営を行うこと。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、市政全体の将来を見据え、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 市民全体の福祉の向上を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見を的確に把握するよう努めること。

(3) 自らの資質の向上に努めること。

(4) 議会が討論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員相互の自由な討議を積極的に行うこと。

第3章 市民と議会との関係

(情報公開及び説明責任)

第4条 議会は、議会活動の透明性を高めるとともに、説明責任を十分に果たすため、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 議会運営の透明性を高めるため、会議を原則として公開すること。

(2) 定例会及び臨時会ごとに、各議員の議案に係る賛否その他の議決の状況について公表すること。

(3) 議会活動に関する情報を積極的に発信するとともに、広報の充実強化に努めること。

(市民参加)

第5条 議会は、市民が議会活動に参加する機会を確保し、市民の意向を議会活動に反映するため、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。

(1) 市民の意見又は専門的な識見を把握し、審査に資するため、必要に応じ公聴会制度及び参考人制度を活用すること。

(2) 請願及び陳情の委員会審査に資するため、当該請願及び陳情の提出者から要旨の補足説明の申出があった場合は、原則としてその趣旨を説明する機会を設けること。

(3) 市政に関する重要な政策及び課題について、市民及び議員が自由に意見交換する場を設けること。

(議会報告会)

第6条 議会は、市民への説明責任を果たすため、年1回以上の議会報告会を開催し、積極的に市民との意見交換を行うものとする。

第4章 議会と市長等との関係

(市長等への質問と議論の充実)

第7条 議会の審議においては、議員と市長等は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 議員の市長等に対する質問は、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにし、市民に分かりやすく効率的に行うものとする。

(2) 市長等は、効果的な審議に資するため、審議及び審査で必要な情報の提供を行うものとする。

(3) 議会は、会議における討議に資するため、市長等に対し、資料の提供を求めることができる。

(市長等の政策等提案における説明)

第8条 議会は、市長等が提案する重要な政策、計画、事業等(以下「政策等」という。)について、議会の審査において論点を整理し、政策等の水準の一層の向上を図るため、市長等に対し、次に掲げる事項に関し説明を求めることができる。

(1) 政策等を必要とする背景

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 市民参加の実施の有無及びその内容

(4) 他の地方公共団体の類似する政策等との比較検討

(5) まちづくりの基本方向を示す最上位の計画における位置付け

(6) 政策等の実施に係る財源措置

(7) 将来にわたる政策等の効果及び費用

(市長等による予算及び決算の説明資料の作成)

第9条 議会は、予算案及び決算の審査に当たっては、市長等に対し、分かりやすい説明資料の作成を求めることができる。

(政策等に対する議会の評価)

第10条 議会は、市長等が行う政策等について、その有効性及び効率性を評価するよう努めなければならない。

第5章 議会運営

(議会の運営)

第11条 議会は、円滑かつ効率的な議会運営に努めるものとする。

2 議会は、言論の府及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由闊達な討議を尊重するものとする。

3 議会は、市政の課題に的確に対応するため、委員会において、専門性及び特性を活かした協議をするものとする。

4 議会は、市民に分かりやすい言葉及び表現を用いた議会運営に努めるものとする。

(議長の役割)

第12条 議長は、議会を代表し、議会の秩序保持、議事の整理、議会事務を統理し、公平公正な議会運営を行うものとする。

(議長及び副議長志願者の所信表明)

第13条 議長及び副議長(以下「正副議長」という。)の選挙において、それぞれの職を志願する者は、正副議長としての活動方針を明確にするとともに、正副議長の選出過程の透明性を高めるため、所信表明を行うものとする。

第6章 議会機能の充実強化

(議員相互の討議による合意形成)

第14条 議員は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会における議案の審査の際には、議員相互の討議により活発な議論を尽くして合意形成に努めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

2 前項の審査を行うに当たり、各委員長は、議員相互の討議が積極的に行われるように当該委員会を運営しなければならない。

(議決事件の追加)

第15条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定に基づき、法に定めるものを除き、必要な事項を議決事件として追加することができる。

2 前項の規定に基づく議会の議決すべき事件については、別に条例で定めるものとする。

(政策討論)

第16条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題に対して、共通認識及び合意形成を図り、もって政策立案、政策提案及び政策提言を推進するため、政策討論を積極的に行うものとする。

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理の確立)

第17条 議員は、高い倫理観を備え、常に議員としての品格を保持し、見識を養い、市民の負託に応えなければならない。

2 議員の政治倫理に関しては、別に条例で定める。

(議員定数)

第18条 議員定数に関する条例の改正の議案は、法第74条第1項の規定に基づく請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して議員が提出するものとする。

2 議員は、前項の議案の審査に当たっては、市政の現状と課題、将来の予測と展望及び市民の意向を把握し、検討するものとする。

3 議員定数に関しては、別に条例で定める。

(議員報酬)

第19条 議員報酬に関する条例の改正の議案は、法第74条第1項の規定に基づく請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して議員が提出するものとする。

2 議員は、前項の議案の審査に当たっては、市政の現状と課題、将来の予測と展望及び市民の意見を十分に考慮しなければならない。

3 議員報酬に関しては、別に条例で定める。

第8章 大規模災害等への対応

(大規模災害等への議会の対応)

第20条 議会は、大規模災害等の緊急の事態が発生したときは、市民の生命、身体及び財産を保護し、並びに市民生活の平穏を確保するため、市民及び地域の状況を把握し、市長等と協力し、復興に向け積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

(大規模災害等への議員の対応)

第21条 議員は、大規模災害等の緊急の事態が発生したときは、地域における被災者の安全確保、避難誘導等に最大限の協力を行うとともに、被害の状況等の情報収集に努め、議長に報告しなければならない。

第9章 条例の位置付け及び見直し手続

(条例の位置付け)

第22条 この条例は、議会運営の基本となる条例であり、議会に関する他の条例、規則その他規程を制定し、若しくは改廃し、又は解釈する場合は、この条例の趣旨を尊重し、この条例との整合を図るものとする。

(見直し手続)

第23条 議会は、常に市民の意見及び社会経済情勢等の変化を勘案し、必要に応じてこの条例の内容に対して検討を加え、必要な見直しを行うものとする。

2 議会は、前項の見直しに当たっては、市民の意見を聴くため、必要な措置を講ずるものとする。

この条例は、令和4年7月1日から施行する。

稲敷市議会基本条例

令和4年6月13日 条例第15号

(令和4年7月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
令和4年6月13日 条例第15号