○稲敷市新規就農者経営開始資金交付要綱
令和5年10月31日
告示第54号
稲敷市農業次世代人材投資資金交付要綱(平成27年稲敷市告示第35号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この告示は、次世代を担う農業者となることを志向する新規就農者の経営確立を支援するため、新規就農者育成総合対策実施要綱(令和4年3月29日付け3経営第3142号農林水産事務次官依命通知。以下「国実施要綱」という。)別記2に規定する経営開始資金(以下「資金」という。)を予算の範囲内において交付することについて、国実施要綱及び稲敷市補助金等交付規則(平成17年稲敷市規則第35号)に定めるもののほか、必要な事項を定めるものとする。
(交付対象者)
第2条 資金の交付を受けることができる者(以下「交付対象者」という。)は、次の各号に掲げる要件を満たすものとする。
(1) 独立又は自営就農時の年齢が、原則50歳未満であり、次世代を担う農業者となることについて強い意欲を有していること。
ア 農地の所有権又は利用権(農地法(昭和27年法律第229号。以下「農地法」という。)第3条に基づく農業委員会の許可を受けたもの、同条第1項各号に該当するもの、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(令和4年法律第56号)附則第5条第1項の規定による改正前の農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号。以下「基盤強化法」という。)第19条に基づく公告があったもの、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成25年法律第101号)第18条に基づく公告があったもの、都市農地の貸借の円滑化に関する法律(平成30年法律第68号)第4条に基づく認定を受けたもの又は特定作業受委託契約を締結したものをいう。)を交付対象者が有していること。
イ 主要な農業機械及び施設を交付対象者が所有し、又は借りていること。
ウ 生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷及び取引すること。
エ 交付対象者の農産物等の売上げや経費の支出等の経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理すること。
オ 交付対象者が農業経営に関する主宰権を有していること。
(3) 基盤強化法第14条の4第1項に規定する青年等就農計画の認定を受けた者であること。ただし、交付期間中に、同法第14条の5第2項に規定する認定の取り消しを受けた場合及び同条第3項に規定する認定の効力を失った場合を除く。
(4) 青年等就農計画に新規就農者経営開始資金申請追加資料(様式第1号)を添付したもの(以下「青年等就農計画等」という。)が次に掲げる要件に適合していること。
ア 農業経営を開始して5年後までに農業(農業生産のほか、農産物加工、直接販売、農家レストラン、農家民宿等関連事業を含む。)で生計が成り立つ計画であること。
イ 計画の達成が実現可能であると見込まれること。
(5) 経営の全部又は一部を継承する場合は、継承する農業経営に従事してから5年以内に継承して農業経営を開始し、かつ交付期間中に、新規作目の導入、経営の多角化等経営発展に向けた取組を行い、新規参入者(土地や資金を独自に調達し、新たに農業経営を開始した者をいう。)と同等の経営リスクを負って経営を開始する青年等就農計画等であると市長に認められること。なお、一戸一法人(原則として世帯員のみで構成される法人をいう。)以外の農業法人を継承する場合は交付の対象外とする。
(6) 本市が定める地域計画(基盤強化法第19条に規定する地域計画をいう。)のうち目標地図(基盤強化法第19条第3項の地図をいう。以下同じ。)に位置づけられている、若しくは位置づけられることが確実と見込まれること、人・農地プランの具体的な進め方について(令和元年6月26日付け元経営第494号農林水産省経営局長通知)別添2の(1)の実質化された人・農地プラン、同通知の3により実質化された人・農地プランとみなすことができると判断できる既存の人・農地プラン及び同通知の4により実質化された人・農地プランとして取り扱うことのできる人・農地プラン以外の同種取決め等(以下「人・農地プラン」という。)に中心となる経営体として位置づけられ、又は位置づけられることが確実と見込まれること、あるいは農地中間管理機構から農地を借り受けていること(以下「目標地図に位置づけられた者等」という。)。
(7) 次に掲げる条件に該当していること。
ア 原則として生活費の確保を目的とした国の他の事業による給付等を受けていないこと。
イ 国実施要綱別記3雇用就農資金、農業人材力強化総合支援事業実施要綱(平成24年4月6日付け23経営第3543号農林水産事務次官依命通知)の別記2農の雇用事業(以下「農の雇用事業」という。)、新規就農者確保加速化対策実施要綱(令和3年1月28日付け2経営第2558号農林水産事務次官依命通知)の別記2就職氷河期世代雇用就農者実践研修支援事業(以下「就職氷河期世代雇用就農者実践研修支援事業」という。)、新規就農者確保緊急対策実施要綱(令和3年12月20日付け3経営第1996号農林水産事務次官依命通知)の別記2雇用就農者実践研修支援事業(以下「雇用就農者実践研修支援事業」という。)による助成金の交付を現に受けておらず、かつ過去に受けていないこと。
ウ 経営継承・発展等支援事業実施要綱(令和3年3月26日付け2経営第2988号農林水産事務次官依命通知)の別記1経営継承・発展支援事業による補助金の交付を現に受けておらず、かつ過去に受けていないこと。
エ 国実施要綱別記1経営発展支援事業又は新規就農者確保緊急対策実施要綱(令和3年12月20日付け3経営第1996号農林水産事務次官依命通知)の別記6初期投資促進事業(以下「初期投資促進事業」という。)について補助対象事業費の上限である1,000万円(夫婦の場合は750万円)の助成を現に受けておらず、かつ過去に受けていないこと。
(8) 園芸施設共済の引受対象となる施設を所有する場合は、当該施設について、気象災害等による被災に備えて、園芸施設共済、民間事業者が提供する保険又は施工業者による保証等に加入している、又は加入することが確実と見込まれること。
(9) 前年の世帯全体の所得が600万円以下(被災による資金の交付休止期間中の所得を除く。以下同じ。)であること。ただし、当該所得が600万円を超える場合であっても、生活費の確保の観点から支援対象とすべき切実な事情があると市長が認める場合は、採択及び交付を可能とする。
(10) 就農する地域における将来の農業の担い手として、地域のコミュニティへの積極的な参加に努め、地域の農業の維持・発展に向けた活動に協力する意思があること。
(11) 令和2年4月以降に農業経営を開始した者であること。
(交付金額及び交付期間)
第3条 交付金額及び交付期間は次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 交付金額は、交付期間1月につき1人当たり12万5千円(1年につき150万円)とする。また、交付期間は最長3年間(経営開始後3年度目分まで)とする。
(2) 夫婦で農業経営を開始し、以下の要件を満たす場合は、交付期間1月につき夫婦合わせて、第1号の額に1.5を乗じて得た額を交付する。
ア 家族経営協定を締結しており、夫婦が共同経営者であることが規定されていること。
イ 主要な経営資産を夫婦で共に所有し、又は借りていること。
ウ 夫婦共に目標地図に位置づけられた者等となること。
(青年等就農計画等の提出)
第4条 資金の交付を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、青年等就農計画等を市長に提出しなければならない。なお、青年等就農計画等を作成するに当たっては、市に相談し、計画の妥当性及び目標達成の実現性の観点から、稲敷地域農業改良普及センター等の関係機関、第12条に規定するサポート体制の関係者等から助言並びに指導を受けることとする。
(青年等就農計画等の変更申請)
第6条 前条の承認を受けた者は、青年等就農計画等を変更する場合は、変更した青年等就農計画等を市長に申請しなければならない。ただし、追加の設備投資を要しない程度の経営面積の拡大、品目ごとの経営面積の増減等の軽微な変更の場合は、この限りでない。
2 前項の規定による交付の申請は1か月分から1年分までの間で市長が定める単位として行い、原則として、申請する資金の対象期間の最初の日から1年以内に行うものとする。また、申請の対象は、令和4年4月以降の農業経営とする。
(資金の交付)
第10条 市長は、前条の請求があったときは、その内容を審査し、その内容が適当であると認めるときは、速やかに資金を交付する。
(1) 資金交付対象者への面談
ア 営農に対する取組状況
イ 栽培・経営管理状況
ウ 青年等就農計画等達成に向けた取組状況
エ 労働環境等に対する取組状況
(2) 圃場確認
ア 耕作すべき農地が遊休化されていないか
イ 農作物を適切に生産しているか
(3) 書類確認
ア 作業日誌
イ 帳簿
ウ 農地の権利設定の状況が確認できる書類(農地基本台帳、農地法第3条の許可を受けた使用貸借、賃貸借若しくは売買契約書、公告のあった農用地利用集積計画若しくは農用地利用配分計画、特定作業受委託契約書又は都市農地の貸借の円滑化に関する法律第4条第1項の規定に基づく事業計画のうち該当する箇所のいずれかの書類の写し。以下同じ。)
5 市長は、資金交付対象者から交付終了後の就農継続期間中に就農中断届の提出があり、その内容がやむを得ないと認められる場合、就農の中断を承認する。
6 市長は、第3項に規定するもののほか、事業の適切な実施及び事業の効果の確認のため、資金交付対象者に対し必要な事項の報告を求めること、及び現地への立入調査を行うことができる。
(サポート体制の整備)
第12条 市長は、新規交付対象者の「経営・技術」、「営農資金」、「農地」の各課題に対応できるよう、稲敷地域農業改良普及センター、稲敷農業協同組合、株式会社日本政策金融公庫等金融機関、稲敷市農業委員会等の関係機関に所属する者及び指導農業士等の関係者で構成するサポート体制を構築するものとする。また、同体制の中から、資金交付対象者ごとに専属の担当者(サポートチーム)を選任し、資金交付対象者の課題の相談先を明確にするとともに必要に応じて助言及び指導を行うものとする。
(農業共済等の積極的活用)
第13条 市長は、農業共済組合と連携し、資金交付対象者に対し、経営の安定を図るため、農業共済その他の農業関係の保険への積極的な加入を促すものとする。
(住所等変更届)
第14条 資金交付対象者は、交付期間内及び交付期間終了後5年間に氏名、居住地や電話番号等を変更した場合は、変更後1か月以内に住所等変更届(様式第12号)を市長に提出しなければならない。
(交付の停止)
第15条 市長は、資金交付対象者が次の各号に掲げる事項に該当する場合は、資金の交付を停止する。
(1) 第2条の要件を満たさなくなったとき。
(2) 農業経営を中止したとき。
(3) 農業経営を休止したとき。
(4) 第11条第1項の就農状況報告を定められた期間内に行わなかったとき。
(5) 第11条第2項の就農状況の現地確認等により、「交付対象者の考え方」を満たさない等、適切な農業経営を行っていないと市長が判断したとき。
(6) 第11条第6項に定める市が実施する報告の徴収又は立入調査に協力しないとき。
(7) 前年の世帯全体の所得が600万円を超えた場合(その後、世帯全体の所得が600万円以下となった場合は、翌年から交付を再開することができる。)。ただし、当該所得が600万円を超える場合であっても、生活費の確保の観点から支援対象とすべき切実な事情があると市長が認める場合は、交付を可能とする。
(交付の中止)
第16条 資金交付対象者は、資金の受給を中止する場合は、市長に中止届(様式第13号)を提出しなければならない。
(交付の休止)
第17条 資金交付対象者は、病気などやむを得ない理由により就農を休止する場合は市長に休止届(様式第14号)を提出しなければならない。なお、休止期間は原則1年以内とする。
(1) 前項の休止届を提出した資金交付対象者が就農を再開する場合は経営再開届(様式第15号)を提出しなければならない。
2 市長は、資金交付対象者から休止届の提出があり、やむを得ないと認められる場合は、資金の交付を休止する。なお、やむを得ないと認められない場合は資金の交付を中止する。
3 市長は、資金交付対象者から経営再開届の提出があり、適切に農業経営を行うことができると認められる場合は、資金の交付を再開する。
(2) 虚偽の申請等を行った場合は全額を返還する。
(3) 交付期間(休止等、実際に交付を受けなかった期間を除く。)と同期間、同程度の営農を継続しなかった場合には、交付済みの資金の総額に、営農を継続しなかった期間(月単位)を交付期間(月単位)で除した値を乗じた額を返還する。ただし、第11条4項の手続きを行い、就農を中断した日から原則1年以内に就農再開し、就農中断期間と同期間さらに就農継続した者を除く。
2 市長は、資金交付対象者から提出された返還免除申請書の申請内容が前条ただし書に規定する病気、災害等のやむを得ない事情として妥当と認められる場合は、資金の返還を免除することができる。
3 市長は、返還の免除が妥当と認められる場合は、返還免除申請承認結果通知書(様式第17号)により資金交付対象者に通知する。
(雑則)
第20条 この告示に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この告示は、令和5年11月1日から施行する。
(経過措置)
2 この告示の施行の前日までに、改正前の稲敷市農業次世代人材投資資金交付要綱の規定に基づき交付金を受給している者の取扱いについては、なお従前の例による。