○稲敷市成年後見制度利用支援事業実施要綱
令和6年3月30日
告示第28号
稲敷市成年後見制度利用支援事業実施要綱(平成22年稲敷市告示第1号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この告示は、判断能力が不十分な認知症高齢者、知的障害者及び精神障害者(以下「要支援者」という。)に対し、成年後見制度を利用するための支援を行うことにより、要支援者の権利擁護を推進し、自立した日常生活を営むことができる環境の整備に資することを目的として実施する稲敷市成年後見制度利用支援事業(第16条において「事業」という。)に関し必要な事項を定める。
(支援の種類)
第2条 要支援者に対して市が行う支援の種類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第32条、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第28条及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第51条の11の2の規定に基づき市長が行う審判の請求(以下「老人福祉法等の規定に基づく審判請求」という。)
(2) 成年被後見人、被保佐人又は被補助人(第10条においてこれらを「成年被後見人等」という。)が成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」という。)に対して支払う報酬に関する支援
(老人福祉法等の規定に基づく審判請求の種類)
第3条 老人福祉法等の規定に基づく審判請求の種類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 民法(明治29年法律第89号)第7条の後見開始の審判
(2) 民法第11条の保佐開始の審判
(3) 民法第13条第2項に規定する保佐人の同意権の範囲を拡張する審判
(4) 民法第876条の4第1項に規定する保佐人に代理権を付与する審判
(5) 民法第15条第1項の補助開始の審判
(6) 民法第17条第1項に規定する補助人に同意権を付与する審判
(7) 民法第876条の9第1項に規定する補助人に代理権を付与する審判
(審判請求対象者)
第4条 老人福祉法等の規定に基づく審判請求の対象者(以下「審判請求対象者」という。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当する要支援者とする。
(1) 市内に住所を有すること。ただし、市長が特に必要と認める者については、この限りでない。
(2) 事理を弁識する能力が不十分なために、日常生活を営むことに支障があり、前条各号に掲げる審判の請求を行うことができないこと。
(3) 次のいずれかに該当すること。
ア 配偶者又は2親等内の親族がいないこと。
イ 配偶者又は2親等内の親族が前条各号に掲げる審判の請求を行う見込みがないこと。
(老人福祉法等の規定に基づく審判請求の基準)
第5条 市長は、審判請求対象者について、次に掲げる事項を総合的に考察した上で、必要があると認めるときは、老人福祉法等の規定に基づく審判請求を行うものとする。
(1) 生活状況及び健康状態
(2) 資産状況
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
(老人福祉法等の規定に基づく審判請求の手続)
第6条 老人福祉法等の規定に基づく審判請求に係る申立書及び添付書類の作成並びに予納すべき費用の納入その他当該審判請求に関する手続は、当該審判請求対象者に係る審判を管轄する家庭裁判所(以下「家庭裁判所」という。)の定めるところによる。
(審判請求費用の負担)
第7条 市長は、老人福祉法等の規定に基づく審判請求を行うときは、家事事件手続法(平成23年法律第52号)第28条第1項の規定により、当該老人福祉法等の規定に基づく審判請求に係る費用(収入印紙代、登記印紙代、通信運搬費、医師の診断書に係る費用及び鑑定費用等をいう。以下この条において「審判請求費用」という。)を負担することができる。
2 市長は、前項の規定により審判請求費用を負担した場合は、当該審判請求費用の返還を求めるため、家事事件手続法第28条第2項の規定による命令を促す申立てを行うものとする。
(1) 生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第1項に規定する被保護者(第9条第1項第3号イにおいて「被保護者」という。)である者又は当該審判請求費用を負担することで同条第2項に規定する要保護者(第9条第1項第3号ウにおいて「要保護者」という。)となる者
(2) 前号に掲げる者のほか、市長が資産の状況等の諸事情を勘案し、当該審判請求費用を負担させることが困難と判断した者
4 市長は、第2項の申立てを行った場合において、審判請求費用の負担を命ずる審判がなされたときは、その命令を受けた者に対し、当該審判請求費用を求償するものとする。
(成年後見人等に対して支払う報酬の支援)
第8条 市長は、成年後見人等に対して支払う報酬に関する支援として、当該報酬の全部又は一部を予算の範囲内において助成するものとする。
(助成対象者等)
第9条 成年後見人等に対して支払う報酬に係る助成金(以下「助成金」という。)の交付対象者(以下「助成対象者」という。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当する要支援者とする。
(1) 市内に住所を有すること。
(2) 後見、保佐又は補助(以下「後見等」という。)の開始の審判を受けている者であって、成年後見人等が当該者に係る報酬の付与の申立てを行い、報酬の付与の審判により家庭裁判所が成年後見人等が受けるべき報酬の額を決定していること。
(3) 次のいずれかに該当すること。
ア 成年後見人等に対する報酬の助成を受けなければ、成年後見制度の利用が困難な状況にある者
イ 生活保護法よる被保護者である者
ウ 成年後見人等に対して報酬を負担することで、生活保護法による要保護者となる者
(4) 成年後見人等が民法第725条に規定する親族でないこと。
(1) 介護保険法(平成9年法律第123号)第13条第1項の規定による住所地の特例に該当し、市が介護保険の保険者になっている場合
(2) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第19条第3項又は第4項の規定による居住地の特例に該当し、市が介護給付費等の支給決定を行っている場合
(3) 生活保護法第19条第3項の規定による居住地等の特例に該当し、市が同法の規定による保護を実施している場合
3 助成対象者が助成金の交付を受ける前に死亡した場合にあっては、死亡時において成年後見人等であった者に助成金を交付するものとする。
4 前3項の規定にかかわらず、他の地方公共団体その他の団体から助成金その他これに類するものを受けることができる者に対しては、助成金を交付しない。
(助成金の交付対象経費)
第10条 助成金の交付対象となる経費は、成年被後見人等が成年後見人等に対して支払う報酬とする。
(1) 次号に掲げる者以外の者 月額28,000円
(2) 施設等に入所している者 月額18,000円
2 前項第2号の施設等は、次に掲げるとおりとする。
(1) 生活保護法第38条第1項に規定する保護施設
(2) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第11項に規定する障害者支援施設及び同条第17項に規定する共同生活援助を提供する施設
(3) 老人福祉法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム及び同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム
(4) 介護保険法第8条第11項に規定する特定施設、同条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護又は同法第8条の2第15項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護を提供する施設、同法第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設、同条第27項に規定する介護老人福祉施設、同条第28項に規定する介護老人保健施設及び同条第29項に規定する介護医療院
(5) 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所(前各号に掲げる施設から入院した場合又は3月を超えて入院した場合に限る。)
(6) 前各号に準ずるものとして市長が認める施設等
(助成金の交付申請)
第12条 助成金の交付を受けようとする者は、報酬付与の審判により家庭裁判所が決定した日から3月以内に、稲敷市成年後見制度利用支援事業助成金交付申請書(様式第1号)に次に掲げる書類を添えて市長に申請しなければならない。
(1) 成年後見に関する登記事項証明書その他の後見等の開始の事実が確認できる書類の写し
(2) 家庭裁判所による報酬付与の審判の決定通知書の写し
(3) 家庭裁判所による報酬付与の審判の際に家庭裁判所に提出した財産目録等の写し
(4) 後見等活動報告書等の成年後見人等の活動状況が確認できる書類の写し
(5) 助成金交付申請額の算出根拠資料
(6) 次項ただし書の規定により保佐人又は補助人である者が代理して申請する場合にあっては、委任状その他の助成金の交付の手続に係る代理権を付与されたことを証明する書類
(7) 助成対象者が死亡している場合にあっては、その証明書類
2 助成対象者の成年後見人等であって、報酬の付与の申立てを行い、報酬付与の審判により家庭裁判所が報酬の付与を決定した者は、当該助成対象者に代わって前項の規定による申請を行うことができる。ただし、保佐人又は補助人である者にあっては、助成金の交付の手続に係る代理権を付与された者に限る。
(助成金の交付決定等)
第13条 市長は、前条の規定による申請を受けたときは、速やかに当該申請に係る助成対象者の日常生活の状況、収入及び資産の状況等を調査し、助成金の交付の可否を決定するものとする。
2 市長は、前項の規定による請求を受けたときは、速やかにその内容を確認し、助成金を交付するものとする。
(助成金の交付決定の取消し等)
第15条 市長は、助成金交付決定者が偽りその他不正な手段により助成金の交付の決定を受けたことが判明したときは、助成金の交付の決定を取り消すものとする。この場合において、既に交付した助成金があるときは、当該交付した助成金を返還させることができる。
(その他)
第16条 この告示に定めるもののほか、事業の実施に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この告示は、令和6年4月1日から施行する。